夏【サンダル】運転は違反だった!?

高速道路を走る車 ドライブ

すっかり暑くなりましたね。

このようなシーズンは、サンダルを履くと涼しくて気持ちがいいものです。

そのまま「お出かけ~♪」なんていうこともあるでしょう。

 

しかし、ちょっと待ってください!!

実は、サンダルで運転するのは、違反行為になることがあるのです。

道路交通法を見てみましょう

「サンダル」と言われて、どのような履き物をイメージされるでしょうか。

このような履き物でしょうか?

スリッパのようなサンダル

それとも、このような履き物?

ヒールがあるサンダル

そもそもサンダルには、さまざまな形があります。

 

今回とり上げるサンダルは、市場に出回っている すべてのサンダルというわけではありません

ここだけ、ご注意ください。

 

 

では、道路交通法には、どのように書かれているか見てみましょう。

道路交通法 第七十条

 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

(罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項)

第百十九条
 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
九 第七十条(安全運転の義務)の規定に違反した者

同条第二項
 過失により前項(-中略-)第九号(-中略-)の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する。

電子政府の総合窓口e-Gov 「道路交通法」より引用

 

「ん?

 どこにサンダルがダメだと書かれているの?」

 

わたしも最初は そう思いました。

 

早い話が、道路交通法には、どのような履き物がダメかということは明記されていないのです。

ただ、「ブレーキを確実に操作すること」とは、関係がありそうです。

 

そして、サンダルを履いていたために、反則金を支払った方がいるということは、どこかに根拠が示されているはずです。

 

では、どこに書かれているのか・・・。

 

それは、それぞれの都道府県単位で出ている「道路交通法 施行細則」です。

 

道路交通 施行細則ってなに?

日本全体で定められている、道路交通法、道路交通法施行令、道路交通法施行規則にもとづいて、各都道府県別に定められたもののことです。

「細則」とあるように、先に見ていただいた 道路交通法よりも、詳しく書かれています。

また、上に挙げた法規を 確実に守らせるために、都道府県単位で定められたものであるとも言えます。

 

では、「施行細則」とは、どのくらい細かい内容が書かれているのでしょうか。

以下に、7都道府県(北海道・東京都・愛知県・大阪府・京都府・佐賀県・沖縄県)の道路交通法施行細則を挙げました。

あなたが住んでいるところの道路交通法施行細則も、ぜひ調べてみてくださいね。

(運転者の遵守事項)
第12条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

げたスリッパ等運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物をはいて、自動車又は原
動機付自転車を運転しないこと。

北海道 道路交通法施行細則より引用

(運転者の遵守事項)
第8条 車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。

(2) 木製サンダルげた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。

東京都 道路交通規則より引用

(運転者の遵守事項)
第七条 定める車両等(車両又は路面電車をいう。以下同じ。)の運転者が守らなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。

三 運転の妨げとなるような衣服又は履物を着用して車両等を運転しないこと。

愛知県 道路交通法施行細則より引用

第13条 車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。

(4) げた又は運転を誤るおそれのあるスリッパ等を履いて、車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

大阪府 道路交通規則より引用

(運転者の遵守事項)
第12条 車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。

(3) げたその他運転操作に支障のあるものをはいて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。

京都府 道路交通規則より引用

(運転者の遵守事項)

第11条 車両等の運転者が遵守しなければならない事項は、次の各号に掲げるものとする。

(3) げたスリッパその他運転操作を妨げるおそれのあるはきものをはいて、車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

佐賀県 道路交通法施行細則より引用

(運転者の遵守事項)
第12条 車両等の運転者の遵守事項は、次の各号に掲げるものとする。

(2) 下駄、又は運転をあやまるおそれのあるはきものをはいて車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

沖縄県 道路交通法施行細則より引用
浴衣のときに履く下駄もダメ

上に挙げた ほとんどの都道府県の施行細則で、下駄やスリッパのような履き物で運転してはいけないことが書かれています。

とくに、スポッと かんたんに脱ぎ履きできるサンダルは、スリッパと同じようなものと捉えるべきでしょう。

 

その反対に、かんたんに脱げなければ、運転するときにサンダルを履いてよいということです。

 

違反にならないサンダルもある

ちょっとしたことで 脱げないサンダルであればOKなのですが、どのようなサンダルがあるでしょうか?

ローヒールサンダルで、足全体を覆うタイプならOK

上記の写真のような、ヒールが低めで、足と履き物とを固定できるものであればOKと言えます。

 

多くの方が持っていらっしゃるサンダルといえば、ビーチサンダルやクロックスが挙げられます。

ビーチサンダルは、鼻緒がついており、乾いた状態であれば、運転に支障は出にくいと言われています。

いわゆる、鼻緒のある 薄い草履はOKとされているようです。

 

また、クロックスは、一見スリッパのように見えますが、履き方によってはOKとされているようです。

かかとのストッパー(かかとで止めるベルト)をきちんとしていればOK、そうでなければ違反になります。

きちんと あなたの足のサイズに合ったクロックスを、かかとを止めた状態で運転すれば問題なさそうですね。

 

サンダル以外で違反になることも…

ここまでは、サンダルについて見てきました。

世の中には、たくさんの種類の履き物があります。

ここからは、サンダル以外で お伝えしていきますね。

ハイヒール

ハイヒール

多くの女性が履くヒールの高い靴も、実は違反になることがあります。

では、「ハイ (high)」とありますが、何センチの高さのヒールからが違反になると思いますか?

 1.3cm

 2.5cm

 3.7cm

 4.9cm

 5.11cm

(参考)約11cmのハイヒール

 

答えは、 3.4.の間の 約8cmです。

 

「その根拠は?

 道路交通法施行細則にも書かれてなかったでしょ?」

 

そう思われた方、実は、施行細則とは別に、さらに細かく定めている文章が出されているのです。

 

その文章が、インターネット上にアップされているところもあれば、ないところもあります。

次に示したのは、インターネット上にアップされている、宮崎県の道路交通法施行細則の運用に関する文章の一部です。

9 第12条(運転者の遵守事項)関係
(1) げた、スリッパ、つっかけ、ハイヒール等

げた、スリッパ、つっかけ、ハイヒールその他運転操作を妨げるおそれのある履物を履いて車両(軽車両を除く。)を運転する行為は、これらの履物が足に対して定着性を欠き、ブレーキやクラッチの操作過程、特に急制動操作時において、離脱等の不安定な状態となり、交通事故に発展する危険性が高く、安全な運転を保持し得ないと認めて禁止されたものである。

げた」とは、社会通念上、足を乗せる木製の台に鼻緒をつけたものをいう。

げた履きによる操作は「げた」の構造上、機械操作感覚の欠如、構造上の操作の困難性から危険性が高い。

 

スリッパ」とは、通常ビニール、フェルト、革等で作られ、足全体を容易に着脱できる構造のものをいうが、その構造からこの種の履物は足に定着性がなく、不安定な履物といえる。

「その他運転を妨げるおそれのある履物」とは、ブレーキ、クラッチの操作に際して、履物自体の形状等から操作に支障となるおそれのある履物及び足から離脱して操作に誤りを招くおそれのある履物をいう。

一般的には、
○ 足に対して定着性を有しないもの
○ 柔軟性(感覚性)のないもの
○ その他操作に支障のあるもの

等を目安として考慮しなければならない。

参考までにその適否を決める上で必要な種類を例示したのでこれに準じて取り扱うこと。

ア サンダル(つっかけ)
足指全体をアーチベルト式に包み込んで使用するもので、サンダル、つっかけ等とその呼称は統一されていないが、これなどは容易に脱落して定着性に欠け、運転操作を妨げるおそれがある履物である。
しかしながら、かかとを止める装置があり、足に定着した状態にしたものは該当しないものと解する。

イ ハイヒール
ハイヒールは、足に対する定着性、柔軟性は兼ね備えているが、かかとが極めて高いため、運転の障害となり、運転操作を妨げるおそれがある履物に該当する。
ハイヒールに至らない中ヒール、ローヒール(かかとの高さがおおむね4㎝以下のもの)といわれる履物は本号には該当しないものと解する。
なお、ハイヒールの高さは、社会通念に従い、おおむね8センチメートルを基準とする

ウ 草履
鼻緒により定着性を有し、底も平らで、かつ、柔軟性も適当であるので本号に該当しない。
しかしながら、女性が使用する底が厚い草履については、運転感覚に乏しく、また通常浅く鼻緒にかけている程度の着用が多いため、これに該当するものと解される。

エ その他
「履いて」とは、着用した状態においての意味であるから、全く素足で運転している場合は、該当しないので取締上留意すること。
その他運転操作を妨げるおそれのある履物については、別表を参考にすること。

(以下、別表)

宮崎県道路交通法施行細則の運用について(例規通達)より引用

道路交通法のような曖昧なものではなく、明確な根拠と数値、図が示されているのが お分かりいただけるかと思います。

こちらのほうが分かりやすいですよね。

ここから判断するに、ハイヒールだけではなく、厚底な靴も危険性が高く、避けるべきだということでしょう。

 

裸足(はだし)

もうひとつ、とり上げておきたいのが、

「裸足で運転してもよいか」

ということです。

 

わたしの大学時代の先輩が、よく裸足で車を運転していました。

早い話が、裸足でも、運転の妨げにならなければOKということです。

ただし、先ほどの「宮城県 道路交通法施行細則の運用について」に書かれていたように、裸足であることで危険性が高まる場合は、ちゃんとした靴を履きましょう、ということですね。

 

どちらにせよ、運転していて事故に遭ったとき、靴を履いていたほうが安全な気がします。

 

もし、違反が見つかったら・・・

運転者の足元は、ふつうに車を運転しているだけでは、警察も なかなか見ることができません。

 

しかし、スピード違反やスマートフォンの操作などで、警察から停止命令を受けたらどうでしょう。

車から降りろと言われることも、しばしばあります。

そのようなときに、履き物の違反も見つかれば、プラスアルファで減点・反則金を課されてしまうのです。

 

もし、普通車や二輪車を運転していて 違反が見つかった場合、その多くは、6,000円の反則金を徴収されます。

6,000円でヒトの命が買えるのなら安いものですが、事故を起こしてしまうと そうはいきません。

 

あなたの命を守るためにも、道路交通法などのルールがあります。

これを機に、運転するときの履き物に気をつけ、無事故・無違反の運転を心がけていただけると幸いです。

そして、アツい夏を楽しみましょう